コラム 第1話:仲間がいてこそ力は発揮できる
(2019年9月23日 掲載)
弊社の社名「ノーチェ」はイタリア語の「noce」から取られました。
「noce」はイタリア語で「クルミ」という意味です。
「noce」を使ったイタリア語のことわざをご紹介します。
〔諺〕Una noce sola non suona in un sacco.
(ウナ ノーチェ ソラ ノン スオーナ イン ウン サッコ)
直訳すると、「クルミ1個では袋の中で音を立てない」という意味です。
そこから転じて、
・「一人は立たぬ」
・「仲間がいてこそ力は発揮できる」
という意味で使われるそうです。(出典:伊和中辞典 第2版. 小学館, 2004年)
私たち一人ひとりは小さな存在ですが、仲間といると、本来の力をいっそう発揮しやすくなります。
とてもいいことわざですね。
発達の最近接領域
ところで、心理学には「発達の最近接領域」という言葉があります。
ロシアの心理学者ヴィゴツキーの言葉です。
私たちが「何かができるようになる」とは、「人の助けを借りずにできるようになること」だけではありません。
そこには、「他の人と関わる中でできるようになること」も含まれています。
そのような部分をヴィゴツキーは「発達の最近接領域」(ZPD; Zone of Proximal Development)と呼びました。
そして、教育的な関わりとは、そのような領域にこそ向けられるべきだ、と主張しました。
これは教育者に限らず、多くの人にとって「学び」を考える上で大切な視点だと思います。
私たちはときに、自分の学習やスキルアップが思うように進まないとき、焦ることがあります。
周りに優秀な人がいると、自分と比べて落ち込んでしまうこともあります。
このようなとき、もしかしたら、「自分一人で全部できるようにならなければならない」と思い込んでいるかもしれません。
優秀な人も、実は自分の知らないところで、人に相談したり、教えてもらったりしているかもしれません。
ですから、このような焦りや落ち込みを感じているときは、そのまま自分一人でなんとかしようと考えてもがくのではなく、「誰と関われば、今の悩みや問題は改善しうるだろうか」と考えることにエネルギーを注ぐことが大切です。
例えば、
・具体的な助言をくれる人のところに相談に行く
・ライバルと思っている同僚に開き直って教えを請う
・いつも機嫌よく働いている人と雑談する
・安心して話せる人に、話だけでもきいてもらう
などの人との関わりが考えられます。
「機嫌よく働いている人と雑談する」などは直接的な問題解決にはなりませんが、
世間話をするなかで笑って気持ちが楽になれば、自分の課題や問題に向き合う気力が回復します。
上に挙げた4つの例は特別なものではなく、ごく日常的な行動ですが、
こういう行動を、悶々と悩まずパッと取れるかどうかは、学びの質とスピードに大きく影響しています。
変化の多い時代において、自分の学びが促進されやすい考え方と行動を意識することは、今後ますます必要になることでしょう。
「人との関わりの中で変わっていけばいいんだ、学んでいけばいいんだ」というくらいに考えて働くことが大切です。
「自分一人でなんとかしないと」と悩みを抱え込みそうなときは、上のことわざを思い出してください。
Una noce sola non suona in un sacco!!
Grazie!!