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メンタルヘルス関連の用語集

インポスター症候群

1. インポスター症候群とは

「インポスター(impostor)」は偽物」「詐欺師」「なりすまし」を表す英単語です。

「自分の成果は運や周囲のおかげであり、実力ではない」「いつか自分の無能さがバレてしまうのではないか」──このように、十分な実績があるにもかかわらず、自分の能力を正当に評価できず、偽物(インポスター)のように感じてしまう心理傾向を「インポスター症候群」と呼びます。

1978年に心理学者のクランスらによって命名されました。
これは精神疾患の正式な診断名ではなく、誰にでも起こりうる心理的な傾向(状態)です。
特に、真面目で責任感が強い人ほど陥りやすいと言われています。

 

2. 代表的な症状と特徴

①自分の努力や実力を認められない
成果を挙げても「たまたま運が良かった」「周りの助けがあったから」と考えて自分の実力を肯定的に捉えられない。

②自分のネガティブなところに注目しやすい
きちんと成果を出していても、小さなミスやできないことばかりを過剰に気にしてしまう。

③不安・罪悪感
周囲からの称賛や高い評価を受けると、「本当の実力以上に評価されてしまっている」「期待に応えられない」とかえって不安が増大する。

④働きすぎる
実力不足が露呈することを恐れるあまり、完璧を求めて過剰に働き、精神的に追い詰められてしまう。

 

3. インポスター症候群の代表的要因

①環境の変化
昇進、転職、新しいプロジェクトへの抜擢など、環境が変わって期待が大きくなったタイミングで生じやすい。

②家庭環境・幼少期の体験
幼少期に過度な期待を受けたり、常に誰かと比較されたり、結果のみで評価されるような環境で育つと、「ありのままの自分」を受け入れにくくなることがあある。

③マイノリティとしての立場
職場や社会において、女性や若手、特定の専門分野でのマイノリティなど、周囲と異なる立場にいると、「代表として失敗できない」というプレッシャーから強い不安を抱えやすくなる。

 

4. インポスター症候群による負の影響

インポスター症候群の状態にとどまると、以下のような心身の健康やキャリアに影響が出やすくなります。

①バーンアウト(燃え尽き症候群)
不安や罪悪感を消すために完璧を目指した働き方を続けて、心身のエネルギーが枯渇する。

②キャリアの停滞(回避行動)
周囲の期待を裏切ることを恐れるあまり、昇進や新しい挑戦のチャンスを自ら辞退してしまう。

③メンタルヘルス不調
慢性的なストレスから、うつ病などに至るリスクが高まる。

 

5. インポスター症候群の改善方法

インポスター症候群の思考パターンから抜け出すには、日々の意識や行動を少しずつ変えていくことが大切です。
自分のインポスター症候群の考え方に気づく、完全主義をやめる、自分で達成できたことを書き出してみる、といったことを積み重ねることが有効です。

もし自力での対処が難しく、日常の不安やストレスが強い場合は、カウンセラーやメンタルクリニックなどの専門家に相談することも役立ちます。

企業においては、経営者、人事担当者、管理職がインポスター症候群について理解を深めることも大切です。
新しい課題や昇格試験へのチャレンジに対して「私なんかには無理」と尻込みする従業員がいた場合、「君ならできる」と叱咤激励したりすぐに期待を取り下げて別の人に替える、という対応は望ましくありません。
本人の話をよく聴き、不安のポイントを理解した上で、本人にチャレンジして欲しい理由や、その仕事を任せるに至った客観的な経緯を説明する、といった対応が重要になります。

引用・参考文献:Clance, P. R., & Imes, S. A. (1978). The imposter phenomenon in high achieving women: Dynamics and therapeutic intervention. Psychotherapy: Theory, Research & Practice, 15(3), 241–247

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